宮崎の岩場/概説

2013/04/17

20130318-134431.jpg関東のクライマーには情報の乏しい、宮崎の岩場について簡単に紹介を試みたいと思います。
間違ったところや足りない点も多々あるかと思いますが、そこを割り引いてお読みください。

私もクライミングをはじめて30年近くたって初めて訪れた宮崎の岩場。その素晴らしさは想像をはるかに超えていました。
岩の量、スケール、ルート内容、岩質、周囲の環境、アプローチ……。そのすべてが間違いなく日本有数の規模です。
これまであまり有名にならなかったのは、ひとえに大都市圏から離れていること、そして情報の乏しさゆえと思われます。

<主な岩場>
比叡山、鉾岳、矢筈岳、行縢山、広タキスラブ、大崩山・小積ダキなどがあり、そのいずれもが大岩壁と言える規模を有しています。
このうち最近よく登られているのは、比叡山と鉾岳(雌鉾岳)の岩場で、逆にほとんど登られていなさそうなのが、矢筈岳、行縢山などです。登られていない理由はよくわかりませんが、アプローチや岩質の問題でもなさそうです。単にクライマーが少ないからかもしれません。
要するに宮崎では、岩質のよい屏風岩クラスの岩ですら、ほとんどクライマーを迎えることなく眠っていることになります。

<位置する場所とアクセス>
アクセスですが、もちろん車前提です。東京から行く場合、熊本空港または宮崎空港どちらも利用できます。最近高速がつながったので宮崎空港からの所要時間が大幅に短縮され、空港から比叡山登山口まで2時間弱で行けるようになりました。ただ、高速代が往復6,000円弱かかります。
熊本空港からはずっと下道で、比叡山登山口まで2時間、その奥にあるクライマーの宿「庵・鹿川」まででも2時間15分ほどで着きます。

<岩場へのアプローチ>
岩場自体は秘境ともいえる山の中にありますが、車を停めてから岩場まではひじょうに楽なところがほとんどです。比叡山の1峰が10~15分。3峰はなんと0~5分。鉾岳は少し歩きますが、それでも取付きまで40分くらいでした。
下降も懸垂よりは歩いて降りられるところが多く、下降も楽なルートがほとんどです。

<時期>
春、秋がよく、特によいのは3月〜5月と10月~11月中旬くらいと思われます。
11月下旬に訪れましたが、暖かい日もあるものの、冬型気圧配置の日は風が強く寒かったです。
ただ、寒い日は比叡山1峰の第1スラブ周辺や、TAカンテのある南面グループなど風当たりの少ないエリアに行くと比較的暖かく登れます。人気ルートのニードル左岩稜はもっとも風当たりの強いルートと言ってよいので、冬型気圧配置の日や気温の低い日は避けた方が賢明です。

<宿泊・買い物・温泉など>
地元クライマーは取り付きの駐車場などにテントで泊まることが多いようです。
その他に300円で泊まれる公民館などもあり、リーズナブルな宿泊場所には困りませんが、何といっても一番のおすすめは上鹿川(かみししがわ)集落にあるクライマーの宿「庵(いおり)」でしょう。
自炊/素泊まりで1泊1,000円ですが、電気、キッチン、五右衛門風呂、冷蔵庫、etc…、とても1,000円のクオリティーではありません。何より「庵」には、この地とこの小屋に対する地元クライマーたちの愛情がつまっています。
オーナーの三沢澄男氏が隣の家に住んでいらっしゃいますので、庵に泊まり、ぜひ三沢氏らと交流を深めることをおすすめします。
買い物は、「庵」の隣に奈須商店(0982-48-0862)というお店があり、お酒やだいたいの食材を買うことができます。熊本や高千穂町のスーパーで買い出ししてきて、足りないものを奈須商店で買ってもいいし、あるいはあらかじめ電話などで奈須商店に必要なものを注文しておけば、買い物時間がなくてもOKです。
それから奈須商店では何と生ビールも飲めるそうです。クライミングから帰ってきて奈須商店で生ビールと冷奴というのは、庵クライマーの定番のようですよ。

<ルート内容>
比叡山は「第一スラブ」など、スラブとついたルートが多いですが、実際はスラブよりもむしろフェースやクラックが多く、どのルートを登るにしろカムは必須です。宮崎の岩場はスラブ主体というイメージがあるかもしれませんが、クラック主体のナチュラルプロテクションのマルチもたくさんあります。私たちが今回登った比叡山3峰の「左方カンテ」や1峰の「ニードル左岩稜」などもクラック中心のとてもよいルートでした。「宮崎の岩場=スラブ」という先入観は捨ててもよさそうです。

なお、お薦めルートにつきましては、こちらをご覧ください。

DSCN2282

比叡山3峰「左方カンテ」最終ピッチ。とてもきれいなコーナークラック


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