アイゼンバンドの処理法

更新日:2015/01/01

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以前ブログにも詳しく書いたことがあるのですが、アイゼンバンドの処理法について、改めて書いてみたいと思います。アイゼンに慣れていない方は、みな余ったアイゼンバンドの処理で悩まれたり、無用の時間を使っているように思えるからです。

まず、私が考えるベストの方法は、上の写真のように「何もしない」というものです。
結局これが一番いい!
ただし、そのためには余剰のバンドの長さが適切である必要があります。
長すぎたら余ったバンドを処理しないわけにはいかないし、かと言って短すぎたら締めにくい、もしくは締められない……。

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では、バンドの余りの長さはどれくらいが適正かと言えば、ぎゅっとバンドを締めた状態で、リングから15~20㎝くらいではないかと思います。15㎝だと少し短すぎるかもしれません。

アイゼンバンドを切るとき、気をつけなければならないのは切りすぎです。切りすぎたアイゼンバンドはもう取り返しがつきません。家でやると当然素手で作業しているので、短くてもバンドが引けてしまい、ついつい短く切りすぎてしまうのです。そして山に行って厚い手袋をした手でアイゼンをつける段になって、バンドが引けなくて後悔する……。
なので、まず最初は20㎝余して切り、それから少し山で実際に使用してみて、その後微調整されるとよいと思います。

注)バンドを切るときは斜めに切り(斜めすぎない方がほつれにくいです)、末端をよく火であぶって固めておきます。

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ただし、私のようにシングルブーツと二重靴と両方使う人は、靴の大きさがそうとう違うので、靴によって余るバンドの長さがかなり変わってきます。
二重靴では15㎝しか余らず、気持ち短いくらいなのですが、写真のシングルブーツだと約23㎝も余り、「何もしない」でブラブラさせておくには余剰バンドが長すぎます。
その場合は下の写真のように、リングに折り返す方式をお薦めします。
これが私の発明した第二の方法です。

つけるときの手間を考えると(慣れればたいした手間ではありませんが)、第一の方法である「何もしない」がベストと思えるのですが、第二の方法には、外すのが簡単(ただバンドを引けばいい)という「何もしない」方式にはない利点があります。
むろん、この折り返し方式をするにせよ、余りのバンドが長すぎてはやはりブラブラしてしまいますので、折り返し方式をする場合は、余りのバンドの長さがおそらく20~25㎝くらいが適当なのではないかと思います。

ということで、私の長年に渡る研究の結果(笑)、アイゼンバンドの処理法については、以上2つの方法を自信を持ってお勧めいたします。

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※追記(2019年2月)

上記の折り返し方式を10年以上やってきましたが、グリベルやBDのアイゼンバンドはバンドが緩みやすいので、この折り返し方式は使わない方がよいと最近思いはじめました。バンドの折り返しをしていると、緩んだときバンドが完全に外れてしまう可能性があるためです。

それで、バンドが余る場合、最近は下の写真のようにつま先側ハーネスに何回かぐるぐる巻きつけて短くする方法を採用しています(写真では3回巻いています)。こうしてバンドの余りを短く調整し、あとは引いた後に「何もしない」ようにします。バンドをハーネスに巻きつけると、それだけでもバンドを緩みにくくさせる効果があると思います。

アイゼンバンド処理の道はなかなか深いですねえ……。

ついでに、余剰バンドの処理以外にもアイゼンについて書いておきます。

まず、基本的なことですが、アイゼンバンドのリング(バックル)は上の写真ように、靴の外側に位置させるのが基本です。あまり後ろすぎると締めにくいと思いますが、少なくともリング(バックル)が靴の正面に来ているようでは前すぎます。

バンドを締めるときにバンド自体が回ってしまい、リング(バックル)が前に来てしまうという方は、バンドが回らないように靴の真後ろあたり(下の写真の微調整つまみの位置)で、バンドに結び目をつくっておくとよいでしょう。私も以前ペツルのバンドを使っていた時にそうしていました。

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それから、セミワンタッチまたはワンタッチアイゼンを使用している方は、うしろに微調整つまみがついています。この微調整つまみは、山で使用するとき、どちらに回したら緩むのか(締まるのか)、瞬時に判断するのが難しいですよね。ですので、写真のように、矢印とユ(緩む方向)などと書いておくようにしましょう。もちろん油性マジックで。

そして、右左の判別もつきやすくさせるため、下の写真のように右左も書いておきます。
(左右についてはロングスパッツの内側にも書いておきましょう)
初心者の方の中には、アイゼンの前後ろを間違えたりする方もいらっしゃいますので、アイゼンに慣れない方は、前側にも矢印か何か書いておくとよいのかもしれません。

たまに、前後ろではなく裏と表を間違える(アイゼンの爪側に靴をのせる)人もいますが、これについてはさすがに私にもいい対処法が思いつきません(笑)。

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おまけです。
細かい話ですが、バンドの通し方は下の写真のように、バックル(リング)の外から内に通すのが基本です。
そうすれば折り返した上側のバンドが下側のバンドを押さえるので緩みにくいからです。
これは軽アイゼンやワカンなどのバンドの通し方でも同じです。

2015-01-01 17.16.12


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